暑熱順化

社会

新潟では観測史上初めて6月に梅雨明けを迎えました。
本格的に暑くなるのも目前。
ということで、暑さ対策に有効な「暑熱順化」について書きたいと思います。

暑熱順化とは…
体が暑さになれることです。
汗をかきやすくなったりして、体にたまった熱を対外に逃がしやすくなります。
ただ暑さに対して我慢強くなるということではありません。

■暑熱順化のしくみ
人体は汗の蒸発による気化熱と、皮膚の血流増加による熱放散により、体外に熱を逃がしています。。
体を暑さに慣らすことで、体温の上昇を察知して汗をかきやすくなったり、皮膚の血流量が増加しやすくなります。

■汗の働き
汗をかきたくない!といって制汗スプレーなどを使う人がいますが、
健康面を考えたら汗をかかないことは悪いことです。
気化熱といって、水分が蒸発するときに周囲の熱を奪う性質があります。
体表面の汗が蒸発するときに体の熱を奪ってくれるので、体温を下げることができます。
だからといって、大量の汗をかき、かいた汗をそのままにしておくと蒸発を妨げますので、
タオル等で余分な汗を拭きとることも重要です。
肌が湿っているぐらいで十分で、汗が滴り落ちるような状態は水分が多すぎます。
こまめに拭き取りましょう。

■水分摂取
汗は体内の水分ですので、対外に出した分だけ補給する必要があります。
ここで気を付けたいのが塩分です。
よく、夏は水分補給と一緒に塩分補給を。と言われます。
人間の体(血液)には最適な塩分濃度というものがあります。
汗と一緒に塩分が放出された状態で水分だけを摂ると、血液中の塩分濃度が下がり、
いくら水を飲んでも体に吸収されず尿となって体外に排出されてしまいます。
その結果、水を飲んでいるのにかえって脱水症状を悪化させてしまいます。

汗は体外に出る前に、塩分が血液中に再吸収されます。
暑熱順化により、この再吸収を高める働きもあります。
つまり、汗と一緒に塩分が失われにくくなるので、スポーツなどで大量に汗をかく場合を除いて、
通常の食事で摂れる塩分で十分と言えるほどになります。
ただし、減塩をしている場合は不足する可能性があります。
水を飲んでいるはずなのに喉が渇いたり、汗が出なくなったり、尿が増えた場合には、
塩飴やタブレットなどで塩分を摂取した方が良いかもしれません。
熱中症かも?と思ったら涼しい場所で休むこと。
また、自己判断ではなく重症化する前に医者に行くことも考えた方が良いです。

■汗が臭う原因にも
暑熱順化が進むと塩分だけでなくミネラルも対外に放出されにくくなります。
汗と一緒に出る塩分やミネラルにより雑菌が増殖することで、汗が臭う原因にもなります。
塩分やミネラルが放出されにくくなるということは、この雑菌の増殖を抑え、
汗をかいても不快な匂いがしにくくなります。

■日本の夏における注意点
日本の夏は湿度が高いです。
湿度が高いとかいた汗が蒸発しにくくなり、気化熱の効果を得られにくくなります。
特に梅雨時期~初夏に、高湿度+暑されに慣れていない体で無理をするのは厳禁です。

東京電力管内で「電力需給ひっ迫注意報」という言葉をよく聞きます。
クーラーの設定温度を上げて電気の消費を減らすことは、電力需給のひっ迫対策に協力できることに加え、
環境破壊を減らすことにも繋がります。
だからといってクーラーの使用を控えたり設定温度を上げることは、熱中症のリスクを上げる可能性があります。
なので、クーラーの使用を控えたり設定温度を上げても大丈夫な体を作ることが重要です。
初夏の時期に少しずつ暑さに体を慣らし、暑い夏を乗り切りましょう。

それでは、今回はこの辺で。
ありがとうございます。

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